ね、先生。
 
「・・・え?」

「うん。
 参考書を買いに隣町の本屋まで昨日行ったんだけど、、、その時。」

「・・・ううん。それ、私じゃない・・。」

「・・・剛! アンタ見間違いって事は・・・。
 ・・・ぁ、ゴメン!葵!!」


その日はいつものように3人で放課後簿記の勉強をしていた。

参考書を開き簿記の問題を解きながら、沢田くんが思い出したように聞いてきた話に、今、固まってる自分が居た。



それは。


昨日、
沢田くんが夜に参考書を買いに行った時。
先生が女性と本屋にいたのを見たと言う、話だった。



「いや、渡部先生は見間違えないよっ。 女の人の顔がよく見えなくってさ、、親と一緒だったから、挨拶とかはしてないんだけど・・・。」

「・・・。」


里美が一瞬私を確認するかのように見て、沢田くんの頭をコツンと叩いた、

その時。


 ・・・ガラ~~


教室のドアが開いた。




あの飲み会から、一週間後の事だった―。
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