ね、先生。
帰り道。




「しかし、見覚えのある服だったんだよなー。」


沢田くんが思い出すように、突然話し出す。


「え?何が?」

「いや、昨日渡部先生と一緒にいた人。」

「バカ!!
 まだアンタそんな事言ってんの?!」


里美が慌てて沢田くんの口を手で塞ごうとした。


「あ゛! 分かった!!!
 あの人だ! あの人!!」


里美の手を押しのけ、沢田くんは続けた。


「ホラ、渡部先生が飲み会で車乗せてもらってた女の先生! あの人のこの前着てた服に似てた!!」


その沢田くんの言葉で、私は見えない鉄砲で頭を打ちぬかれた気がした。

そして、遠い記憶が蘇える。

私が退部届けを持っていった時のことを―。
分かりきったように答えてた、田口先生の事を―。
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