ね、先生。
 
「・・・葵。
 ごめんね。・・・大丈夫・・・?」


里美が不安げな顔して、私の顔を覗いた。


「う、うん。」

「・・・見間違いだよ。 剛の。」

「う、、うん。 ・・・もう、いいよ。」



本当は、里美に今話したかった。


沢田くんがウソをついてないって事を、

私の胸に詰まるモヤモヤを。

でも。

今、それを口にしてしまえば、なんか認めてしまうようで悔しかった。


そして、

「何か理由がある」と思う自分と同時に、

さっき先生に感じた「差」を

掻き消せない自分がいて・・・、

二人でいる時の、

優しい先生まで疑ってしまいそうで、、、

怖かった―。
< 209 / 278 >

この作品をシェア

pagetop