ね、先生。
そんな中、

騒いでいるクラスメイトを背に、私は考えてた。





今日。

合格発表だったんだよ?

私、1級に合格したの。



努力の全ては、無駄だったのかな・・・?

私の、浅はかな考えだったのかな?





そう思ってる時、


「・・・おめでとう。
 1級、合格おめでとう。」


渡部先生が私の席の前に来てくれた。


「・・・ありがとうございます。」

「・・・あれ?
 なんか嬉しそうじゃないなー。 1級合格したのにッ。」

「・・・。」


ぶすっと不貞腐れた顔の私の頭に、先生は手を伸ばした。



 ・・・パチンッ。



「・・・さ、触らないで。」


私はその手を弾いた―。


「・・・ご、ごめんッ。」



・・・きっと先生は私の頭を撫でようとしたんだと思う。



でも、

その差し伸べたその手からは、

あの女-ヒト-の香りがしたんだ・・・。


・・・甘い。

甘い香りが・・・。
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