ただ風のように
「ジャンプボールから始めます。代表者は前に」
遊汰先輩が言うと亜美先輩が私の背中を押した。
「夏々海、よろしく」
私は頷いて前に出た。私の相手は志穂先輩だった。
「じゃあ、始めます」
遊汰先輩がボールを上に投げ、私と志穂先輩は思いっきり跳んだ。
ボールは私の手に触れて友美先輩が取った。
亜美先輩がもうゴール前に走っていて友美先輩は強烈なパスを出した。
亜美先輩はそれをしっかりキャッチしてシュートを決めた。
開始後、わずか10秒の出来事だった。
「すぐ切り替えて!!取り返すよ」
志穂先輩が大声で言ってボールを持ってエンドラインまで下がった。
私は志穂先輩のマークなのでしっかり先輩を見据えた。