ただ風のように
「ど……た?だ……じ……か?」
心配そうにみんなが私を見て、遊汰先輩が声をかけるがよく見えないし聞き取れない。
私はそのまま、気を失った。倒れるとき誰かに支えられた気がした。
「……るい……うですか。じゃあ、大丈夫なんですね」
「目が覚めれば大丈夫よ。あなた、ここにいてくれる?あなた達のコーチに報告してくるから」
「分かりました」
私は聞き覚えのある男の人の声と、聞き覚えのない女の人の声がして目が覚めた。
確か私、ゲームをしてて床に頭ぶつけて起きようとして……。気絶したんだ。じゃあここは西高の保健室で保健の先生がコーチに話をしに出ていったんだ。
男の人の声……。誰だっけ?聞き覚えがある。
そのときカーテンの向こう側に人の気配を感じた。カーテンに手がかかったので私は寝ているふりをした。