ちいさなたからもの
受験が終わっても、俺は塾で勉強し続けた。



そんな俺に、塾の講師たちは俺にこう言った。



少しは休んだらどうだ、と。



けど、そんなのは関係なかった。



でも、塾をやっている時間にも限界がある。



だから、塾帰りには適当に街をぶらついた。



そして、父さんたちが寝静まった深夜に帰ってくる。



そんな生活を続けた。



そんな俺に父さんは、何も言わなかった。



街をぶらついているとき、たまに思う。



俺は、人より心が弱いのだろうか。



それとも、心が折れるほど、悲しいことがあったのだろうか。



ああ・・・分かんねぇ・・・



そんなこと、考えたくない。



もう、幸せだった時間は終わったんだ。



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