ちいさなたからもの
考え事をしている間に、父さんが戻ってきた。



「なんで、あんなに体力あるんだ、あいつは」



「俺に訊かれても」



俺の隣に座り込む。



「浩平」



きりっとした表情で、言った。



「お前、岬に行って来い」



「岬?」



考えてみたら、2日目の目標は岬だったはずだ。



「桜が花畑に夢中だからな。お前だけでも行って来い」



「いいけど、父さんは?」



「俺は疲れちまった。あとで桜と一緒に行く」



「・・・分かった」



俺は立ち上がり、歩き出す。



旅の、目標へ。


< 25 / 43 >

この作品をシェア

pagetop