Fahrenheit -華氏-

■Tiredness(疲労)


家に帰ってシャワーを浴びると、俺は何となく裕二に貰ったDVDをレコーダーにセットした。


裕二の言う通り、確かにご無沙汰だったからな。


ま、あいつの好意は素直に受けとりましょ。ってな具合だ。


―――だがしかし……


全っ然おもしろくない。


俺の下半身は一向に元気になる様子がないし、途中で欠伸まで出てきた始末だ。


淫らな女の喘ぎ声が響いて、俺は額を押さえた。


だめだ。


全然その気になんない。



プチっとテレビの電源ごと消してやった。


俺―――どうしちゃったの??





結局その夜は濃い目の焼酎を飲んで、ベッドに潜り込んだ。


夢で柏木さんに会えるといいな、と願いつつ目を閉じるといつの間にか眠りに入っていた。






――――

――


短い休みはあっという間に終わり


月曜日



「おはようございま~す♪」とにこにこ顔の緑川さんを見て、俺は若干引き腰。


金曜日の涙はどこへやら。


気まずいのは俺だけであって、緑川はいつもどおり。




女ってのは分からん。








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