Fahrenheit -華氏-



分からん―――って言やぁ柏木さんもだ。


最近彼女にしちゃ珍しく小さなミスを犯す。


ほんのちっちゃな間違いで、言うほどのことでもないしましてや咎めることでもない。


体調でも悪いのかな?


ちょっと顔色がすぐれない。


「部長~この間の資料できましたぁ」とまた舌たらずな喋り方でくねくねと体を動かす緑川さんの胸元は第二ボタンまで開けられていて、色の濃いブラがちょっと見えていた。


緑川さんは…まぁ胸がでかいほうで、ちょっとかがむと谷間が見える程だ。


う~ん…なかなかおいしい光景だけど……


ちっとも欲情しん。


俺はちらりと柏木さんを見た。


彼女は


「佐々木さん。この前お願いしたスクラップどうなりました?」と佐々木の方へ身を乗り出している。


いつかの居酒屋で見た、あの絶妙な背中のライン。


細いウエストからきゅっと締まったお尻のラインが細くてきれいで……


いかん!!


俺の下半身が元気になってきた……


何でだよ!!


「部長。この前のAT社の件ですが…」


と出し抜けに柏木さんが俺の方を向いたので、俺は慌てて足を組んだ。


机が邪魔して見えない筈なんだけどね。


俺は苦笑い。












柏木さん切れだ―――









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