Fahrenheit -華氏-

って、もう終業時間の五分前ですよ?


て言ってやりたかったけど、前々から取引のある業者で、普段から無理も言ってこないし入金だって早い。


何よりうちを贔屓にしてくれてるところを放ってはおけない。


電話を切ると、


「悪いけど、先行ってて」と恨みがましい口調で柏木さんと佐々木を見た。


「じゃぁ部長、先にお店で待ってま~す」


元気に挨拶していく佐々木。


ぺこりと一礼してその後に大人しく着いて行く柏木さん。


あぁ、もうっ!ついてない。





結局、業者との打ち合わせは電話で済ませることにした。


発注したい物と数量を聞き、いくつか思い当たる業者に無理を承知で交渉する。


「来週中なんて無理ですよ」


「そこを何とか」


押し問答が続いて、ようやくぎりぎり金曜日納品可能にします、と言う返事をもらったのは7:00過ぎ。


「全く!手間掛けさせんじゃねぇよ」


電話機に向かって悪態を着くと、俺は勢い良く立ち上がった。






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