月影
「俺のいないところで、男と二人っきりになるな」

そういうと、機嫌悪そうに、机に置いてあった深幸の飲みかけのジュースを一気に飲み干した。

「なら、さっさと戻ってきてよ。あれが勝手に入ってきたんだもん、私のせいじゃないし。政宗がなかなか戻ってこないのが悪いんじゃん」

深幸が不機嫌そうに答えると、少し考えたあと、それもそうだな、と政宗は笑った。

「そうだな、悪かった」

そう言うと、深幸の隣に座る。

「今、どのあたりやってるんだ?」

何事もなかったかのように振る舞う政宗に、深幸はわざわざ地雷を踏む必要もないと判断し、教科書を差し出した。

「あのね、この問題、今解いてたんだけど、方程式って、この形であってる?」

一緒に、解きかけの回答の書かれたノートも差し出した。


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