月影

一瞬の出来事に、深幸は目が点になった。

つかつかと部屋の中に入ってきたかと思うと、政宗は怜の首根っこを捕まえて、そのまま部屋の外へと追い出し、そのままバタンと扉を閉めてしまった。

「おい、政宗！何すんだよ！」

怜が扉を開けて叫ぶ。

「あぁ？」

政宗はただそう言って、怜を睨みつけた。
その表情はとても怖くて、誰の目からみても、怜に対して殺意を抱いているとしか思えないほどだった。

怜はその目つきに思わず委縮し、小さく舌打ちすると、そのまま扉をバン！と閉め、バタバタとその場を離れて行った。