ひねくれ双子の険しい恋路


あたしは両手をお腹に近付けて、背中を丸めて小さくなった。



怖かった、怖かった、怖かった…



息はちゃんとできても、心臓はおさまらない。


ドク、ドク、ドク、ドク、ドク…


落ち着け………。



――ブー、ブー。


――ビクッ


ポケットの携帯が震えただけなのに驚いた。



バイブが短かったから、電話じゃない。


まだ震える手で、ゆっくり受信箱を開く。


『……?』


そこには、知らないアドレス。


メールを開いてみると、


sub:麻生一夜
―――――――――――

朝日からアドもらった。

今から屋上これるか?

―――――――――――



『一夜……』


その名前を口にすると、涙がこぼれそうになった。


けど、こぼさなかった。



あたしは、「行く」とだけ打って、トイレを出た。





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