ひねくれ双子の険しい恋路

3.



――――――――
――――――


そのあとあたしと梨沙はギリギリで午後の授業に入り大人しく座っている。


本当ならサボりたいところだけどさすがに単位も考えないといけない。



……ブー、ブー。


急に携帯のバイブレータがポケットでなった。


開くと新着メールが入っていた。



それは、隣の席からのメール。




〈……嬉しかったんだ〉



その一言だけの。



何のことかなんて聞かなくてもわかってる。


昼休みの―――。



だからあたしは、

《うん》


とだけ返した。



教室には先生の声がよく通っていて、喋っているクラスメイトも少しいる。


携帯のバイブなんかには誰も気付かない。



……ブー、


今度は1回目で携帯を開いた。



〈ぶつかってきてくれたの、初めてじゃん〉


うん、朝日以外じゃ麻弥が初めてだったね。


あたしはまた、

《うん》

と返した。



それからあたしと梨沙はメールで会話をした。


あたしは携帯をポケットに入れずに、手に握ったまま黒板をすこし写した。



〈あんなまっすぐな人も初めてだよ……。〉


と梨沙から来た。

その少し下の方に、


〈深い意味で“麻弥”って呼んだわけじゃないのに、うれしいって……〉



それにはあたしも驚いた。

なんだか苗字で呼ぶのも変だったし、名前知ったから……それだけの理由だったのにね。



――カチカチ。


《そうだね》


“送信しました”




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