厨二彼女
 
 
「橋本さん、アンタ最近調子乗り過ぎ。蔵也に優しくされて調子乗ってんじゃねーよ」

そう言って謙を壁に突き飛ばすのは、いつもニコニコと笑っている子だった
これがあの子の本性

「私は可愛いから別格とか思ってんの?アタシらの王子に手出さないでよ」
「我は可愛らしくなどないぞ」

それまで黙ってた謙が口を開く

「それに白石隊員は王子ではない。私の部下だ」
「は?また変な事言ってるよコイツ」

謙を囲んで居た女の子達が謙を指差して一斉に笑う

「アンタ恥ずかしくないわけ?」
1人の女の子が謙の襟首を掴む
このままだと謙は殴られる、そう思って止めに入ろうとした瞬間

「これが本当の私なのです。偽るなんて言語道断だ。さあ、今すぐその薄汚い手を離すのだ愚民よ!」

謙の言葉に足が止まる
何キャラだよってツッコミより、謙の言葉が僕に突き刺さった
これが本当の自分
偽るなんて言語道断、か…

「は?アンタ自分の立場分かってんのかよ!」

今度こそ殴られる
僕は謙とその女の子の間に割って入る
女の子の手首ごと掴んで離さない

「僕の隊長に何してるの?」

そう聞けば周りの女の子達は逃げていく
目の前の女の子は震えている
でも、僕は許さない
 
 
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