悪魔的ドクター



━━━数十分後…



「ん〜ッ!おいしい!!」


「それは良かった」



嬉しそうにニコニコしながら食事をする彼女は、やはりいつも通り元気そう。


だが…
『妙』な感じは消えない。



「何かあった?」



ふいに聞くと
彼女は一瞬食べる手を止めた。



「い、いえ?別に…」



何かあったな。

わかりやすい娘だ。



「言えない事なのか?」


「……。」



まったく…
相変わらずこの娘は
何を我慢してるんだ?



「…あんまり無茶するなよ」



心配だが
俺にはそれしか言えない…。



ただ…
悩みすぎて喘息が酷くならなければいいが…。



「先生…ごめんなさい」



咲桜ちゃんは箸を置き
俯き加減に小さく謝った。



「どうして謝る?」


「…先生に、心配掛けてるから」



そう思うなら話せばいいのに。

まぁ言えない事なんだろ。

それか
俺に話した所で何も変わらないから、話したくないのか…。


確かに俺は無力だから
仕方ないんだが…。



「…食べたら薬飲んで、ゆっくり休め」



そう一言残し
俺はリビングをあとにした。



深入りしてはいけないが
咲桜ちゃんの事は気になる。
何か事件に巻き込まれてなければいいんだが…
考えすぎかもな。



――……速水side END *。+†*



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