空を泳ぐさかな 【短編】
のんきに背伸びをしている少年を、私は怒る気にはなれなかった。



赤く染まる空に浮かんだ、たくさんのサカナ。



シャボン玉がタマゴだなんて、手品の口上なんだろう。

だけど、悲しい気持ちばかりで造られた雲だから、雨が降るのだろうか。



私の変わりに空が泣いてくれるのかもしれない。



そう考えたら、怒る気持ちは浮かんで さえこなかった。

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