桜
「あの子…さっきの……」
腕時計で時間を確認する。
彼女がでていってからもう一時間以上は立っていた。
…何してんだよ。
じっと見ているといきなり彼女が履いていたヒールをぬぎすてて地面に裸足で立った。
「酔ってんのか…?」
町行く人々は彼女に目も暮れずに通り過ぎて行った。
まるで俺にしか見えていないように。
俺の目は彼女から離れなかったんだから。
「裸足でいたら足切れちゃうかもよ?」
「………!」
少しびっくりしたのか目を丸くして俺を見る。
あぁ。マスターの言ったとおりだ。
可愛い顔をしている。
…おっと、違う違う!