野球部のあなたとあたし
『それとね、これは今言いたくなかったんだけど……』

『何?』

『美那、夏川くんと付き合ってた時むちゃくちゃ幸せな笑顔してたんだよ。ちょっと妬いちゃうくらいね』


……沙弥……ほんとにありがとう。


「悠、じゃなくて……夏川くん!」

試合が終わって解散した直後に、悠に声をかけた。


あれからずっと試合を見ていたけど、悠はホームランを2本かっ飛ばし、守備も完璧にこなした。


かっこよくなりすぎだっつーの、このやろ~~!!


思わず気持ちが揺れそうになるけど、一度決めたことだからもう揺るがない。


もう付き合ってはいないから、名字で呼ぶ。


「話があるから、ちょっといい?」


悠はかなり驚いたみたい。


「悠、どこ行くの?」


坂本さんが子犬みたいに甘えるように悠に言う。


「すぐ戻るから」


そう言って、悠が歩き始めたあたしの後ろをついてくる。

< 41 / 59 >

この作品をシェア

pagetop