ありがちな恋

被告人愛奈!料理を作ったのだれ?

「ストロベリー」でアイスを食べた後
俺と愛奈はまっすぐ家に帰った。
家の前に着いた頃、愛奈が思い出したように言う。

「そうだ!お兄ちゃん。お母さんが家庭教師の
お礼にごちそう作るから、今日食べにきなさいって言ってたよ!」

ほほう。それなりの対価のごちそうがでるんだろうか。

「それなりの物が出るんだろうなぁ?なんせ労働基準法を
無視してお前のために、時間を割いたんだから」

俺は不敵に笑いながら言う。これぞ需要と供給の世界。

「そんなこというんだ~お兄ちゃん。お母さんに言ってやる!」

「うそうそ冗談だって。じゃあ今からお邪魔しようかな」

なぜか愛奈がビクッと反応する。

「うぅ~一回着替えてきなよ~。それに、ほら!着たままだと
制服にしわがついちゃうし!・・・それに私も・・・だし」

最後のほうは声が小さくて聞き取れなかった。なんて言ったんだ?
愛奈のやつは?

「まあ、そこまで言うなら着替えてきてやるよ。何時くらいに
行けばいい?」

「今が5時だから、7時!」

「了解。そんじゃまた後でな」

「うん!また後でね!」

そういった愛奈の顔はイタズラする前の子供みたいな
笑顔だった。
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