【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
第3楽章‐響くセレナーデ‐
♪ 変わりゆくもの
暁くんのお見舞いに行ったあの日から、1ヶ月。
あたしの日常は、大きく変わっていた。
ヴヴヴヴヴ…
ポケットの中で震える感触に気付き、中からケータイを取り出す。
新着メールは一件。
表示された名前は、“暁くん”だった。
――今日は、迎えに行くね。校門で待ってる―――
あ…、今日も来てくれるんだ…。
ここ最近、暁くんは何故か学校まで迎えに来てくれる。
暁くんは大学もあるから、あたしはいいって言ったのに、毎日のように迎えに来てくれるんだ。
そりゃ、嫌な気はしない。
むしろ暁くんの優しさは嬉しい。
でもなんだか申し訳ないし、暁くんは目立つから恥ずかしいと思う面もある。
あたしは、ケータイを操作して返事を打った。
“いつもごめんね?ありがとう”
パタンとケータイを閉じて、窓から空を見上げた。
青い空は、今日も綺麗だった。