【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐




早く行こうよと腕を引くと、苦笑いしながらも指を絡めて手を繋いでくれた。




「はぐれないように、ね?」



“迷子になんてならないもん”


ケータイの画面を覗きこんだ暁くんは、ふわりと柔らかく微笑んだ。





***********




「柚、あんまりはしゃぐと転ぶよ?」



むー、子供扱いしたっ!



あたしが頬を膨らませて怒ったのを見て、暁くんは小さく噴き出した。



「ふ…っははっ、あははっ…!」



あたしは笑われてさらにむくれるけど、暁くんはますます笑い出す。



「ごめんっ、なんか、ぷは…っ。くく…っ」



笑いながら謝られても、許す気になんてならない。



怒っている、という意思表示をするため腕を組んでプイッと顔を反らす。




「ごめんって。なんだか、可愛かったから。」



怒っているということも忘れ、一瞬トキメキかけたが、すぐに我に返ってもう一度頬を膨らませて、顔を反らす。




暁くんってば、ずるいんだから。



“そんなんじゃ騙されないんだからっ”



ケータイの文章を読み上げた暁くんは、少し考える素振りをしてから、やがて悪戯っぽく笑った。



「うーん。…ではレディ、お詫びにソフトクリームでもいかがですか?」



…ソフトクリームっ!?



思わず体が反応してしまう。



「…許してくれる?」




う゛ー…



暁くん、ずるい。




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