【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
早く行こうよと腕を引くと、苦笑いしながらも指を絡めて手を繋いでくれた。
「はぐれないように、ね?」
“迷子になんてならないもん”
ケータイの画面を覗きこんだ暁くんは、ふわりと柔らかく微笑んだ。
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「柚、あんまりはしゃぐと転ぶよ?」
むー、子供扱いしたっ!
あたしが頬を膨らませて怒ったのを見て、暁くんは小さく噴き出した。
「ふ…っははっ、あははっ…!」
あたしは笑われてさらにむくれるけど、暁くんはますます笑い出す。
「ごめんっ、なんか、ぷは…っ。くく…っ」
笑いながら謝られても、許す気になんてならない。
怒っている、という意思表示をするため腕を組んでプイッと顔を反らす。
「ごめんって。なんだか、可愛かったから。」
怒っているということも忘れ、一瞬トキメキかけたが、すぐに我に返ってもう一度頬を膨らませて、顔を反らす。
暁くんってば、ずるいんだから。
“そんなんじゃ騙されないんだからっ”
ケータイの文章を読み上げた暁くんは、少し考える素振りをしてから、やがて悪戯っぽく笑った。
「うーん。…ではレディ、お詫びにソフトクリームでもいかがですか?」
…ソフトクリームっ!?
思わず体が反応してしまう。
「…許してくれる?」
う゛ー…
暁くん、ずるい。