【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
こんな嫌な奴なのに、どうしてこんなに気になるんだ。
どうして、その夢の行方を見たいと思ってしまう。
なぜ、こんなに輝いて見える…。
「どう?見たくなっただろ?」
「…ちょっとだけね。」
「それはよかった」
この時のその答えは、単なる気まぐれでもあったかもしれない。
けれどそう答えたことを、俺は間違ってなかったと思っている。
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「…それで、しつこく誘われて、メンバーに会わされて、演奏聞かされて。」
「それで?」
「…わかんない。」
「へ?」
「気がついたら、一緒にいて、一緒に音楽やってた」
すっかりかき氷を食べ終わってしまった李織さんは、そう完結した。
ってか、最後てきとー…。
「最後、めんどくさくなりましたね?」
「………。」
…わかりやすい。
仕方ないので、ここからはあたしから質問していくことにした。
「キーボード、やっぱり弾きたくなったんですか?」
「…悔しいけどね。あいつらの音聞いてたら、俺もしたくなった」
ほんのりと李織さんが笑った。
「アキの言った通りになったのは、気にくわなかったけど。でも、すごく耀いてた。眩しいくらいに。俺も、って思えた。」
当時を懐かしむように、目を細める李織さん。
あたしの知らない、昔のみんな。
出来れば、もっと前からみんなと出会っていたかったなと思う。
埋まらないその時間の差が、もどかしい。
「…ま、こんな感じ?大した話じゃないでしょ?」