わたしとあなたのありのまま
「ほのか?」

 田所は、不思議そうに首を傾げて私を見る。


「田所は独りじゃないよ。
 みんな、田所のこと大好きだよ。
 理系のやんちゃ軍団も、あの山田だって」

「なんだよ? 理系のやんちゃ軍団て」

 田所は訝しげに顔をしかめ、不満そうに言った。


「田所とその仲間たちのこと、文系の女子はそう呼んでる。
 ちなみに、理系のイケメン軍団って呼ばれてるグループもあるよ」

 知らないようなので教えてあげた。

「なんで俺らがイケメン軍団じゃねぇんだよ」

 そう文句を言いながらも、田所は笑った。


「あのね、だから、田所は独りじゃない。
 辛くてどうしようもない時は、誰かを頼ればいいんだよ」

 呆然と私を見下ろしている田所の漆黒の瞳を、私も真っ直ぐ見詰めて続けた。


「できれば、
 私を頼って欲しい」

 田所の指を握った手にさらに力を込めた。


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