わたしとあなたのありのまま


「落ち込んでる?」

 靴を脱いで部屋へ上がりながら尋ねた。

「お前、俺の話聞いてる?
 まあ、いいや。
 うん、落ち込んでる。
 さっきエリカにふられた」

 言って顔を上げると、今にも泣きだしそうな顔で苦笑する。

 田所、エリカ先輩にふられたんだ。
 でも、そのせいで落ち込んでいるわけじゃない。

 どうして田所は、いつもいつも見え透いた嘘を平気でつくのだろう?
 どうして、
 どんなに辛い時でも、こんな風に精一杯強がるのだろう?


 ゆっくりと近付いて、田所と向き合うようにひざまずいて正座し、そんな田所を見上げた。
 田所の瞳がゆらゆらと揺れた。

「田所が帰ってからね、田所の仲間たち、悪口言ったヤツラをやっつけたからね。
 それで、鵜飼先生に酷く怒られて。
 明日お礼言った方がいいよ」

「お前、それをわざわざ言いに来たの?
 そんなもん、電話かメールで……」

 田所の膝の間に垂れ下がっている両手を、下からギュッと握った。


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