これはあなたへのラブレター
一番苦手な数学の授業が始まってからも私はケータイを左手に握りしめていた。

「ここがこうなるとき斜辺はー…」先生の一生懸命の説明も頭に入ってこない…

「はいじゃああきちゃん!!これはどうなる???」
「ほぇっ!?!?………………………………100ぐらいになってほしい…です…」

「あきぃー真面目にやれよなっ…ぐらいって…ww」
空が笑いながら言う。


…だってさ、集中できるわけないじゃん??

そのちょっとあと、
「ヴ―ッヴーッ」という音と、
細かい振動が左手をふるわせた。

ドキッとして下を向いてケータイに目をやるとサブディスプレイには 『純くん』と表示されていた。

心臓のおとが急に大きくなる。
表情が自分でもわかるくらい緩んでしまう。

…返事はすぐにしちゃいけないって何かに書いてあったけどそんなのできっこなかった。

「先生ーーっ!!あきが下見てにやけてまーす!!」

「ちょっ…そらぁっ!?
…だってさぁ…」

空と私の恋バナが始まった。


でもさすがアットホームな塾。

先生はおこるどころか私たちの会話に入ってこようとした。



…まぁ、先生なんかには恋バナなんてするきはさらさらないけど。
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