孤高の天使
「ラファエル…様……?」
静寂に包まれた月下で掠れた声がか細く響く。
ドクン…ドクン…と不安に鼓動を高鳴らせる心臓。
小さな声で呼んだ名に、ラファエルが目を細める。
そして、柔らかな表情を浮かべたままラファエルが告げた言葉は…
「君と距離を置こうと思う」
刹那、時が止まった――――
瞳を大きく見開き、息が止まるのを感じる。
「天界へは帰したくないが、少し考えてみようと思う」
「何を……?」
掠れて震える声。
ラファエルは眉を寄せて、それでも笑って言う。
「君を天界へ帰すべきかということをだ…」
それは待ち望んだはずの言葉だった。
けれど、心から喜べないのは何故だろう…
「嬉しいか?」
ラファエルのその問いに私は答えることができなかった。