孤高の天使
「だけど…それはこの姿が2つあるからいけないんでしょう?」
「ッ…!!」
その言葉だけで十分伝わった。
アメリアさんは私の存在を消すつもりだと…
「可愛いイヴ。私にこの姿を与えてくれてありがとう」
頬に手を差し伸べ、微笑む。
それこそ“私”のように……
「安心なさい。ルシファー様が他でもない私を選ぶ瞬間を目に焼き付けてから冥界に送ってあげるから」
その言葉に最初に浮かんだのは死に至る恐怖ではなく、焦燥感だった。
ラファエル様がもしアメリアさんだと気づかなければ?
もし“イヴ”だと思ってしまったら?
ううん…それは大いにあり得ること。
だって、記憶のない私と“イヴ”との共通点は外見だけ。
記憶のない私には中身まで似せられることは出来なかったから。
だから…きっとラファエル様は気づかない……
ズキッ……―――――
胸が抉られる様に痛む。
“イヴ”として愛されるアメリアさんの姿を思い浮かべれば浮かべるほどその痛みは増す。
「アメリア様」
静寂の闇夜に突如聞こえた第三者の声。
弾かれる様に頭を上げれば、そこには全身に黒衣を纏った複数の悪魔。
そして―――――