孤高の天使


聞く人によれば綺麗ごとだと言われるだろう。

けれど私は“イヴ”を失ったラファエル様のことを見てきたから。



ラファエルがイヴを巻き込んだ天使を滅したことで気は晴れた?



答えはノーだ。

あの時恨みや憎しみの対象を消したはずのラファエルはずっと苦しみ続けていた。


数百年間もずっと…――――

だから私は誰も恨まないし憎まない。




しかしミカエルはそんな私を見下すようにフッと口の端を持ち上げて鼻で笑った。




「それで清廉潔白のつもりか?さすが天界一純粋な天使と呼ばれていただけあるな」


可哀想に…ミカエルの心はもう濁りきってしまった。

何をとっても聞く耳を持たず捻くれた取り方をするミカエルに溜息を吐いた。




「その天界一純粋な天使が次期神であったと言ったら?」

「何!?」


神から聞いた事実をそのまま口にすれば、一瞬驚いたミカエルだったが、挑発だと思ったのか堪えきれないというように笑った。



「ふっ…ははは…お前が神だと?私をそんな嘘で動揺させようとしても無駄だぞ」


ミカエルは私の言うことを信じなかった。


< 357 / 431 >

この作品をシェア

pagetop