孤高の天使
「確かに何も知らされず不安になったこともあったけど、ラファエル様は私を守ろうとしてくれていたのでしょう?」
すかさず「だが…」と口を開こうとしたラファエルをギュッと抱きしめることで口を塞いだ。
ラファエルのくぐもる声を聞きながら、伝えなければならないことを口にする。
「私は私の意志で過去の記憶を知りたいと欲しました。だから神様にお願いしたの。過去の記憶を知って傷ついたけれど、それは私が受け入れなければならない傷だから…」
私の言葉を聞き入れたラファエルは大人しくなり、肩の力を抜く。
落ち着いた様子のラファエルは私の肩に頭を預ける。
「それでも君にあの過去を思い出してほしくなかった」
ラファエルの吐露に私は小さく微笑んだ。
初めて魔界で逢った日、あんなにも涙を流していたというのに。
数百年間も私を待ってくれていたのに、貴方はそれでもそう言ってくれるの。
きっとラファエルの中では私に自分を思い出してほしい気持ちと思い出してほしくない気持ちがせめぎあっていたのだろう。
自分の気持ちを押し込めながらずっと…
ならば私の気持ちも変わらない。
「ラファエル様」
辺りに闇の粒子が消え、晴れやかな青がのぞいた空を仰ぎながらラファエルに呼びかける。