孤高の天使
「お前の友達っていうと天使ってことだろ?迷いの森ならまだしも、こんな城下の裏路地に天使がいるわけねーだろ。」
疑いの眼でそう言ったかと思えば、「オイッ!」と焦ったように口を開く。
「イヴ!羽!羽!」
「え?あっ……」
一瞬何のことか分からなかったが、しきりに指をさされて“羽”と言われ、羽を具現化していたことにやっとのことで気づく。
フッと光の粒子となって羽を消す。
すると、ルーカスがほっとした表情をして周りをキョロキョロと見渡す。
「誰にも見られてないだろうな?」
「はい……」
半信半疑でコクンと小さく頷いた。
あれは見られていないのよね?
見られたという本人もいないし……
「ならいい。4枚羽の天使だとばれたら厄介だからな。」
ほっとルーカスの口から出た言葉に、ピクリと反応する。
4枚羽の天使――――
「ルーカス…」と口にすると、「ん?」と返される。
「なぜ4枚羽の天使は憎まれるの?」
幾度も耳にするその言葉に、遂には好奇心を抑えることができなかった。
しかし、ルーカスは「それは…」と言ったまま口を閉ざす。
「お願い、ルーカス。知りたいの悪魔と天使の間に何があったのかを……」
そう言えば、ルーカスがその視線をフッとそらしながら口を開いた。
「4枚羽の天使は……俺たちを悪魔に陥れたからだ。」
「それって……」
その言葉の意味を辿って、ハッと気づく。
弾かれたように顔を上げれば、怒りに満ちたような悲しそうなエメラルドグリーンの瞳と目が合う。
そして、ルーカスは苦々しげに衝撃的な事実を口にする。
「俺たちは堕天使だ。」