有明先生と瑞穂さん
部活の休憩時間、布津は水道のところで深江が先輩とどこかへ向かうところを見つけてしまった。


周囲にバレないように距離を置いているが事情を知っている布津は「あの人だったのか」となんとなく目で追う。


妙に気にしてしまうのは『友達』だからか

それとも

『気になる存在』だからか――



(俺、深江に大分振り回されてるな・・・)




練習に戻ると後から少し遅く体育館に戻ってきた先輩をまた目で追ってしまう。


表向きは笑顔だが、どこかぎこちなくて深江がきちんと断ることができたのだとわかった。


――深江はどうしているだろうか。



振られたのはその先輩なのに深江が心配になる。


体育館には顔を出さない。

(出せるわけないか)



先輩が俺を一瞬睨んでいたような気がした。


自分は何も関係ないのに、後ろめたい。



(俺が好きなのは瑞穂だっつの)

(俺だって)


(女に振られたカワイソウな男さ)
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