有明先生と瑞穂さん
―――名前・・・?




予想外のお願いに、瑞穂は目をパチパチさせた。



「駄目なの?」


有明がしゅんとした顔をする。


「え・・・いや・・・え・・・?」

「ちゃんと聞いてた?瑞穂さん」


瑞穂は慌てて何度も頷く。



(うわ・・・私とんでもないこと考えてた・・・)


スケベは自分一人だったと瑞穂はまた違う恥ずかしさでいっぱいになった。


「何考えてたの?瑞穂さん・・・」

「え?!え、いやぁ~~何も考えてないですよ!
まぁったくわからなかったなぁ~ハハハ・・・」

「・・・・・・」


怪しげな目で見つめる有明の視線が、また違う意味で痛い。


「ま、いいけど」


それ以上詮索する気はないのか、抱きしめていた手をゆっくりと離して瑞穂は解放された。

まだドキドキしている心臓が余計に恥ずかしい。


(なぁ~んだ・・・名前か。
名前ね・・・・・・


・・・・・・ん?)



「瑞穂さん?」



瑞穂は気付いてしまった。

顔を覗き込む有明と目を合わせられない。





ピンチを乗り越えた瑞穂に訪れた、第二のピンチ。




(有明先生の名前って何だっけぇ~~~~?!)




ある意味襲われた時よりも瑞穂の顔は真っ青になっていた。
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