有明先生と瑞穂さん
「有馬さんも口之津先生のこと、まんざらじゃないってことよ」

「ええっ?!」


声を上げると「シーッ」と人差し指を口に当てて笑う。



「まあ有馬さんがかばうとは思わなかったけど、その考えは安易すぎないかな」

「まあそれもあるけどね。
でも考えてみてよ。
あれだけ完璧にメイクしてオシャレしてた有馬さんが、ただ口之津先生をギャフンと言わせたいってだけでスッピンで出てきちゃうんだよー?!

普通、嫌いなだけならほっとくよ」

「あっ!確かにそうだね」

「今考えれば有馬さんの口之津先生に対する異常な態度・・・
あれって実際、口之津先生よりヤキモキしてたんじゃないのかな?

‘自分はここにいるのに’って。
‘なんで気付かないのよ’って」


「・・・かわいいとこあるじゃん、アイツも」


目の前では困惑する有明先生の腕をつかんでいつものようにデレデレとしている有馬。

後ろでは口之津がなんとも言えない顔をしてそれを見つめていた。



「もしかしたらあの二人、時間の問題かもね」




――そうかもしれない。

――そうだといいな。



深江はそれだけ話すと、邪魔をするように有明と有馬の間に割って入っていった。


それを布津と笑いながら見つめる。
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