剣舞

そして、腕の中のオンナの目を見る。

「オリビア。戦う事が、・・・自ら、手を染める事が、おまえを守れる方法だと思うんだ。
この祝賀には、何か裏がある。
最悪、自分の権限で、儀をとりやめる事もできるんだが・・・。」

言葉を飲み込むヴァイスの代わりに、彼女がつづける。
彼の肩に、額を押し付けるように、俯いて。


「そうしたところで、その裏にある何かをいぶり出せない。
だから・・・決行するのね？」

「・・・そうだ。」
彼は、苦しげな表情で肯定した。


「私は・・・貴方を
信じるわ。」

オリビアは、数刻沈黙した後、微笑みかけた。
ヴァイスの、透き通った瞳をしっかりと見つめて。

「先刻の、条件を飲んでいただけるなら、演じて見せましょう。あなたの采配を傷つけないように。」

そういって、解かれた腕から擦り抜け、オリビアは男に背を向け、その場を立ち去ろうとした。

が、

再び、ヴァイスの腕が、彼女の肩を包み込むように、抱きしめる。


「もう少しだけ・・・
こうしていてほしい。」