剣舞
 


宵の口、静寂を打ち破る太鼓の音が、空気を震わせる。



十数名の舞手が、宮中舞踊を催す。

柔らかな布が、宙を舞い、まるで水流のようである。

時に激しく
時に穏やかに

軟らかな肢体が、一糸乱れぬ舞を華やかに献上する。

下流に水流が分岐するように、踊りの輪が周囲に退き水宮班きっての美貌の舞手二人と共に、オリビアが、舞台中央に残る。

宮廷舞踏の衣装のしなやかな女性らしい衣装を身につけた二人と相俟って、金属の飾りを施し、妖気を表現するかの如き、長い色爪と色帯を身につけたオリビアは、太陽と海を想わせる。

彼女は天を仰ぐ。

弦楽器が奏でる古典音楽に合わせて踊りだす三人の舞師に、その場に居合わせたものは陶酔する。

壁面に座する、王と妃、ヴァイスが座り、その対角線上となる位置に、本日の主役、アンジェラが座り、舞を見物する。

ヴァイスの熱い視線を逸らせ、美しく舞うオリビアを、アンジェラは醒めた視線をおくり見つめる。
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