6 L O V E .
「・・・巧、何してんだ」
聞いたことのない低い声だった。
ぐいっと巧くんの腕を引っ張ったのは、
「・・・櫂さん?」
先輩だった。
なんでここで先輩が出てくるの・・・?
私はびっくりして声も出せなかった。
「桜ちゃん、嫌がってるだろ。離してやれよ」
「・・・俺はただ桜ちゃんに気持ち伝えただけですよ」
睨み合う二人。真冬の風が容赦なく吹き付ける。
「好きなら、相手の嫌がることすんなよ」
そう言った先輩の目はどこか悲しそうだった。