6 L O V E .


 …気づいたら、あたしはふわりと榊さんを抱きしめていた。海風があたしたちの間をすり抜けていかないように。

 あんなに大人だと思っていた人が今はひどく小さな子どもに見える。愛しくて愛しくてしかたない。




 「あたしも…今まで人を好きになったことありませんでした。だけど、榊さんを図書館で初めて見たとき胸のあたりがきゅうってなったんです」


 榊さんから返事はなかった。それでもあたしは続けた。





 「榊さんはそのとき迷子になって泣いていた子を優しく慰めてて、一緒にお母さんを探してあげてました。い、いつも…榊さん、お年寄りや子どもたちに声をかけてて、困ってる人がいれば助けてて…ほ、ほんとに優しさにあふれた人なんだなって思いました…だから!」

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