【短編】ヒーロー
柳君を見送って部屋に戻り、
ドアを開けると同時に颯ちゃんと目が合った。
「もう帰ったんか?」
「え? あーうん」
「ふーん……で、あれ誰?」
テレビをみてる颯ちゃんの横に座りながら答える。
「え? 柳君」
「で?」
「で? って?」
颯ちゃんと目が合ったまま時が止まった。
あれ?
私……また何か変なこと言ったかな?
「お前……告白でもされたんか?」
「え!?」
私の顔を見て笑い、
『何や、図星か。
お前を好きなんて物好きおるもんやでなぁー……』
そう笑いながらテレビに目線を向けるのに、カチンときた。