【完】♥KEEP OUT♥~この恋は立ち入り禁止~


しかし、走った先には階段があり、それに気づかなかった私は真っ逆さまに落ちる。



入学式がこんなケガして終わるなんて嫌[ヤ]だ――・・・。



ドスンと、音をたてて地面に落ちた。



・・・・・。



ん? 痛くない.....?


激痛が走るかと思えば、そうでは無く、私の下には何かものがあった。





「痛[イテ]ぇな.....、早く降りろ」




閉じていた目を開け、声のする方を見る。




―――.....格好いい。





栗色の柔らかそうな髪に、切れ長の目、そして、筋の通った鼻。



絵本の中の王子様みたい。



そう思うくらい、格好いい。


でも、その人の眉間には皺[シワ]が寄っていて....?



「あのさぁ、人の顔ジロジロ見るよりも、どいてくんない?」



へ?

よく考えてみたら、私は彼の上に乗っていた。


も、もしかして....、落ちても痛くなかったのは、この人の上に落ちたから....?



「あはは.....」



「笑って誤魔化[ゴマカ]そうとしてんじゃねぇ」


「...すみませんでした.....」



< 6 / 119 >

この作品をシェア

pagetop