【完】♥KEEP OUT♥~この恋は立ち入り禁止~
しかし、走った先には階段があり、それに気づかなかった私は真っ逆さまに落ちる。
入学式がこんなケガして終わるなんて嫌[ヤ]だ――・・・。
ドスンと、音をたてて地面に落ちた。
・・・・・。
ん? 痛くない.....?
激痛が走るかと思えば、そうでは無く、私の下には何かものがあった。
「痛[イテ]ぇな.....、早く降りろ」
閉じていた目を開け、声のする方を見る。
―――.....格好いい。
栗色の柔らかそうな髪に、切れ長の目、そして、筋の通った鼻。
絵本の中の王子様みたい。
そう思うくらい、格好いい。
でも、その人の眉間には皺[シワ]が寄っていて....?
「あのさぁ、人の顔ジロジロ見るよりも、どいてくんない?」
へ?
よく考えてみたら、私は彼の上に乗っていた。
も、もしかして....、落ちても痛くなかったのは、この人の上に落ちたから....?
「あはは.....」
「笑って誤魔化[ゴマカ]そうとしてんじゃねぇ」
「...すみませんでした.....」