ブランコ
屋上で
1、屋上で

 「今日も雨じゃん、最悪。」
未由は、お気に入りの水玉のかさをさしながら、バスに乗りこんだ。
バスはぎゅうぎゅう詰め。つまっている空気の中で、学校に着くのを待った。
 
時計を見た。
いつもどおりに着いたなら、あと10分ぐらいは余裕があるはずだ。
「9時5分・・・遅刻じゃん・・」
あ-あ、また遅刻だ。高校生になってから、登校する時間が遅くなった。
っていうか、遅く来なきゃいけない。だって8時半に校門が開くから。
そのせいで、いつも乗っていたバスの時間も狂った。
中学生のころは、毎日、「田中さん」が運転しているバスに乗っていた。
「田中さん」は、いつも、未由が降りるときには、「いってらっしゃい」
って言ってくれた。でも、高校生になったら、「松本さん」が運転しているバスに
乗ることになってしまった。その「松本さん」が運転するバスは、よく遅れる。
だから学校に遅刻するときが多くなった。
「あ-、もうッ また怒られるじゃん-」
案の定、校門の前では、未由の担任の先生が、腰に手を当ててこっちを見てた。
「中村あああ-!!」
「先生--、またバスが遅れたんですッ松本さんがああ-」
「そんなの言い訳にならないッ早く教室に行け」
先生は未由の前を歩いて行った。

「未由-また遅刻う??」
友達の言葉がココロに刺さる・・・
「しょうがないんだもん。松本さんが悪いんだもん。」
「松本さん-?誰それええ?!」
周りで笑いが起こる。
「だからあ、しょうがないんだもん-」
未由は、机に突っ伏せた。

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だってえええ、しょうがないじゃあん・・・
あああ、だるいだるいだるいだるい・・・!!
やばいよ・・・空回りばっかだっつうのッ
あ、そうだあ
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「ねぇ、ちょっとさあ、だるいからあ、保健室行ってくるわ。先生に言っといて。」
「ええ-、未由があ??ん-、分かった」
未由が向かったのは・・屋上。まだ雨が降っていた。
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