see you again
「どうしたの!!?大丈夫?」

突然咳込んだ私を見て倫汰くんは驚いていた
私は喉をおさえながら机の上の薬ケースにしていた小物入れを指差した

「……薬…」


倫汰くんから薬と水を受け取って口に含む
しばらくすると痛みもだいぶやわらいできた

「ごめんね心配させて」
「いいんだよ心配なんていくらしたっていいんだよ」
倫汰くんは優しい
でもその優しさが長いあいだ人を避けてきた私には
すごく痛かった…
倫汰くんの眼がすごく寂しそうだったことに気がついた

「私ね…病気……なの」

「病…気?」


自分でも驚いた
ずっと心に閉ざしていた言葉がこんなにもあっさり声になるなんて。

「そう…喉のね……
本当は手術しなくちゃいけないんだけど、手術しても成功する保証もなくて…声帯を傷つけたら歌…歌えなくなるって」

また目頭が熱くなって涙が頬を伝う
< 40 / 142 >

この作品をシェア

pagetop