アメが降る
新しい飴
入院してから初めての春、彼女は大きな手術を受けた。
にこにこと笑って手術室に入った彼女だったが、
術後の経過が良くないらしく
別室に移され、面会謝絶となった。
彼女に会えない間、僕は1人僕以外だれもいない部屋で
安いパックの酒をちびちびと飲み、
泣いた。
全く酔えなかった。
飲めば飲むほど意識ははっきりとしていき
現実に押し潰されそうになった。
彼女が使っていた四角いクッションを抱き締めて泣いた。
しばらく掃除していないリビングは散らかり放題で
足の踏み場さえもなかった。