誰も居ない部屋で
俺はアコースティックを再び手にして
ベッドの隣で弾き始めた。
すると白く綺麗な手が止めた。
「ユキ、」
『あなたが、生まれ変わるのを待っていたの。
この家で、二人で過ごした
素晴らしい思い出があるこの、家で』
「俺はちゃんと帰ってきた、
待たせたな、
ギター、聞くか?」
ユキはゆっくり首を振った。
『前に弾いてくれたわ、
だからもういいの。
私が死んでからも
弾き続けてくれていたのを知ってる。
ありがとう、
だから、もう弾かなくていいの』
「帝さんは、ユキを…
本当に愛していた」
『知ってる、だって私が愛した人だもの』
微笑むユキは美しかった。