課長さんはイジワル
第102話 恋愛偏差値氷点下
「佐久間主任!大丈夫ですか!?」

慌てて佐久間主任のもとに駆け寄る。

だけど、全身ずぶ濡れになり噴水に座り込んだ佐久間主任は、水面を見つめたままピクリともしない。

「佐久間……主任?」

ノーリアクション。

おーーーい。

佐久間主任の目の前で手をヒラヒラさせてみる。

まさか……

まさか……

目、開けたまま死んでる?


「きゅ、救急車!救急車を……!」

慌てて、ケータイを取り出そうとする私の手を濡れた佐久間主任の手が掴む。


「佐久間主任……」


生きとる。



「いつ?」

「へっ?」

「いつから、奥田取締役と付き合ってたの?」

「今、そんなこと話してる場合じゃ……」

「答えろよ」

「そんな個人情報、佐久間主任に関係ないことですから!」

「あるよ!オレはずーーっと杉原君にアプローチし続けて来たんだ!」

「アプ……ローチ?」


ハテナ?

そんなの身に覚えありません。

うーむ。

眉間にしわが寄りまくる。


「うそだろ?まさか……気付いてなかった、とか?」


なんのことでしょうか?

訳も分からず、必死に記憶をたどろうと眉根を潜めて、首をポッキリ横に折る。


「だって、俺、君にケー番教えたし……」

「ああっ!……って、それがアプローチなんですか?」

「それだけじゃない!飲み会の後とか君のことを心配して電話したこともあっただろう?」

「……(熟考12秒)おおっ!そうですね。ありました、ありました!」


私がポン!と手を打つと、佐久間主任がガクッとうなだれる。


「杉原君。君の恋愛偏差値、氷点下」




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