華麗に舞う龍の如く
「着替えどうする?」


「き、着替え…?」


「そう。これからここで暮らすんなら着替えが必要でしょ?」


「あ、そういえばそうだ…」


でも…あたし着替え……全部捨てられたんだよね…


自動施設にいる時、皆にいじめられて……


服、全部捨てられたんだよね…


あるのは今着てる服だけ。


あたしが下向いて考えてると、


「今から一緒に買いに行こ」


想叶が腕時計を見ながらそう言った。


「え?」


「服。新しいやつ」


想叶が笑顔でそう言った。


「何だよ。こいつ、服ねぇのかよ」


「あることはあるんだけどね。せっかくだから買いに行こうと思って」


「金どうすんだよ」


「俺と聖の割り勘」


想叶がそう言うと聖は何も言わず、


「行くならさっさと行こうぜ」


それだけ言ってドアの方に向かった。


「聖は普段、Sでちょこ~っとぶっきら棒な時があるけど本当は優しい奴なんだよ」


想叶が小声で言った。



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