華〜ハナ〜Ⅱ【完】



「え…………」


「だから、月華が憎い。MOONは嫌い。あの場所も、思い出すから行きたいところじゃない。」



目は伏せて、淡々と話す。


本当だけど、ある意味嘘ばっかりの私の言い訳。




…両親が月華に殺されたんじゃない。

私が月華として殺した。

…月華が憎い?

まぁ、自分は好きじゃないけれど。

…MOONが嫌い?

マスターがいればなんでもいいの。
なんとも思わない。

…あの場所は行きたくない。

それは本当ね。
栗栖侑希としてはあの場所に行きたくはない。




「侑希ちゃん…」

「何?」


「そんなこと、話して大丈夫なのかよ?」



李玖が、心配そうに眉をよせている。


「ええ。いつかは言わなきゃいけないことだから。」


もう、割り切ってるのよ。

言わないことばかりじゃここにはいられない。





< 66 / 305 >

この作品をシェア

pagetop