群青



「んじゃ、後で食堂な。先行っててくれ」


そう言って大友は自分の席へと戻っていった。


けど、先に行っててくれってのは。


……あぁ。大友は掃除当番だったか。


しばらくすると教室に担任がやって来てホームルームが始まる。


何かしらの説明をタラタラと垂れ流し無為な時間が過ぎていく。


それから締めはやはり機械的な号令だった。


「それじゃあ気をつけて帰れよ」


教師のそんな言葉とは裏腹にまた騒がしくなる教室の中、各々が机と椅子を後方へと運び出し掃除が始まる。


僕も同じ様に机を運び、教室を出た。


騒がしいのは教室だけじゃない。


各教室から、やはり僕と同じ様に部活に行く者。帰る者。違う教室に向かう者。


多様な方向へと伸びる足。それに会話。


廊下もなかなかに騒がしくゴチャゴチャしている。


人を避けて、ゆっくりと食堂へと進む。


昇降口を通り、渡り廊下を抜け食堂へとたどり着く。


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