殺人カメラ


「…ふぅ」

「阿部先生どうしました?」

「櫻井先生…」

彼は同期の先生である。

「大変ですね、山田 美里でしょう?」

山田 美里の両親が死んでもう3年が経つ。
彼女に最初に会った中学の入学式。

山田 美里は笑っていた。
しかし、死人のように白く哀れな姿で。

この時私はこの子を支えてやらなければと思った。

私は時々彼女の家にご飯を作りに行っている。
彼女は両親が死んでから何も口にしていなかったのだ。

「でも何故あの子はあの場所に居るんでしょう…」

「はい…」

彼女が今住んでいるのは火事が有ったあの家だ。
新しく家を建てたのだが怖くはないのだろうか?

両親は火事で焼け、遺体も残らなかったのに。


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